マナー&プロトコール ミニ辞典

日本マナー・プロトコール協会が正しいマナー&プロトコールの知識をお伝えします。

新年を迎える「心」を大切に

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昔の人は、新しい年は農耕神である歳神様が連れてくるものと信じていました。

年の始まりである正月は、新しい歳神様を祀り、五穀豊穣や家内安全を祈るものでした。そのため、正月の中でも1月1日を「元日」、そしてその朝を「元旦」と呼びます。「旦」とは地平線に太陽が現れる時を意味しているので、本来は早朝のことです。

正月は年中行事の中でも重要な儀式なので、今も多くの伝統的なしきたりが残っています。そのいくつかをご紹介しましょう。

■初詣

年の初めに神社や寺院にお参りすることですが、元々は大晦日の夜に一家の主が氏神様の社に籠る「歳籠もり」がもとになっています。やがて有名な神社に出かけたり、その年の縁起の良い方向である「恵方」にあたる神社へ詣でる「恵方参り」などが盛んになりました。

■年始の挨拶

親戚、知人への年始の挨拶は、家族でゆっくり過ごしたい元日は避け、2日以降に行くようにしましょう。手土産を持参する場合は、紅白蝶結びの水引の付いた掛け紙をかけ、表書きは「お年賀」とします。品物を包装した上から掛け紙をかける事を「外のし」、掛け紙をかけた上から包装してもらう事を「内のし」と言います。

■お年玉

元々は、歳神様に供えた餅を下げ、年少者に分け与えたことから始まりました。これを「年玉」と言い、それが後にお金に代りました。目上の人から目下の者に渡すのは「お年玉」ですが、独立した子どもが親に渡すような場合は、「お年賀」の方が良いでしょう。

■書き初め(おもに1月2日)

古くは宮中儀式でしたが、江戸時代以降に習字が盛んになるにつれ「書き初め」が、広まりました。元旦に初めて汲んだ水を「若水」と言いますが、その水で墨をすり、恵方に向かっておめでたい詩歌を書くのが一般的でしたが、今では詩歌にこだわりません。

■人日の節供・七草の節供(1月7日)

1月7日は「人日」と言われていました。「人日」の由来は、かつての中国では正月に動物占いをする習わしがあり、7日目にその年の「人間」の運勢を占ったことによります。またこの日は、「七草の節供」とも言われ、7日の朝に摘んできた春の七草を包丁でたたいて粥に入れた「七草粥」を食べます。その由来は、宮中で1月15日に食べられていた穀物粥(七種粥)のしきたりと、生命力の豊富な若菜を摘んで食べる「若菜摘み」の風習などが融合したものと言われています。

■鏡開き(1月11日)

その日まで供えていた鏡餅を下げ、雑煮や汁粉に入れて食べるものです。武家社会では「切る」という言葉を嫌い「鏡開き」と言ったため、その名称が今日に受け継がれています。当時は仕事始めの日だったので家族や主従の関係を深めながら、歳神様が宿っていた鏡餅を食べ、そのエネルギーを蓄えて無病息災を願いました。

小正月(1月15日)

元旦を中心とした「大正月」に対し15日を「小正月」とし、様々な行事や祭りが行われました。例えば正月に飾った門松やしめ飾りを持ち寄って神社などで燃やす「左儀長」や「どんど焼き」は、正月行事が終わり、歳神様がこの煙に乗って天に帰っていくとされていました。また、正月に何かと忙しかった女性たちをねぎらう意味から、この日は「女正月」とも呼ばれます。

今に伝わるしきたりも、時代とともに変化してきたものです。

最近は正月行事も簡略化の傾向にありますが、大切な日本の生活文化の1つとして後世に伝えていきたいものです。 

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