目上の方やお客様との会食の際、あるいはビジネスにおける様々なシーンで、「どちらが上座(席)かな?」と迷うことがありませんか?
席にはすべて「上座(じょうざ・かみざ)や上席(じょうせき)」と「下座(げざ・しもざ)や末席(まっせき)」があります。この「座」と「席」の表現の違いについて、「座」は部屋の座る位置や、和室では座布団が置かれた所などに用います。洋室の場合は椅子を基準とするので、一般に「席」を用います。
そこで、今回は「席次の基本」を確認していきます。
■席次とは
基本的には出入口から遠い位置が「上座」となり、出入口に近いところが「下座」です。
さらに席次は、目上の方への敬意やお客様に対してのおもてなしの意味が込められていますので、失礼のないようにしなくてはなりません。ビジネスの場合の「目上」とは、一般的に役職で決まります。同じ役職の場合は、年長者が「上席」に座ります。夫人同伴のような社交の場では、夫人は原則として夫の序列に準じます。
■「序列」を見分けるポイント
- 基本時には、その座の中心や、出入口から遠いところが上座、または上席となる
- 同条件であれば洋室では、右側が左側より上席となる(右上位)
- 和室では日本古来の基準に則り、左側が右側より上座となる(左上位)
しかし席次は状況によって変わります。例えば和室では「床の間」があるなしで基準が変わりますし、窓からの眺望や上位者の意向などを優先させます。
■具体的な席次の例
①和室の場合
和室では、床の間に近い位置が上座です。床の間は、家の中で最も”格“の高い場所であり、その前が一番上座になります。
イラスト(1):床の間の前の①が上座、次は「左上位」に即して①の左側②になります。
イラスト(2):席が3つ並んだ場合、床の間の前の中央①が最上座で、次は床の間の前②、そして脇床側③となります。
<席次例 『マナー&プロトコールの基礎知識』11ページより抜粋>
②応接室の場合
ドアから遠い奥の席が上席になります。また一人掛けの椅子④⑤より、長椅子の方が格上です。長椅子の中央が上席になり、次に「右上位」に即して右側の席②、最後が左側の席③になります。部屋が狭く、出入りがしづらい場合は、長椅子の奥から①②③としてもかまいません。
<応接室の席次 『マナー&プロトコールの基礎知識』62ページより抜粋>
■会議等の場合
自社の会議室でお客様と面談をする場合は、出入口から遠い側が上座になり訪問側が座ります。
奥の中央の席①が上席、次は①の右側でドアから遠い②、そして左側③とイラストの番号のような席順になります。自社側も同様の順でドア側に座ります。
<席次例 『マナー&プロトコールの基礎知識』12ページより抜粋>
■円卓の場合
個室の場合は出入口から一番遠い席が上席、近い席が末席になります。ホストは主賓の左隣りに座り、そして男女は交互に座るのが一般的です。レディ・ファーストに即して、女性を上位とします。
<席次例 『マナー&プロトコールの基礎知識』11ページより抜粋>
■眺望が素晴らしいレストラン
夜景や庭園などが見えるレストランでは、一般的には下座側であっても「眺めが良い席」を上席とする場合があります。その際に「眺めが良い席へどうぞ」と一言添えると良いでしょう。
■カウンター席の場合
鮨屋やバーなどのカウンター席では、出入口から遠い方が上席になりますが、例えば接待する側が2人で、相手が1人の場合は、二人の間に座っていただく方が良いでしょう。
「席次」には、部屋だけでなく車などの乗り物やエレベーターなどにも様々な順序があります。それについては、次の機会に紹介いたします。
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