マナー&プロトコール ミニ辞典

日本マナー・プロトコール協会が正しいマナー&プロトコールの知識をお伝えします。

おせち料理のこと、あれこれ

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節供(後の節句)料理」とは、本来季節の変わり目である「節日(せちび)」に神様に供える料理のことでした。それが次第に、年中行事の中で最も盛大に祝われるお正月に振舞われる料理だけを「おせち」と呼ぶようになり、今日に受け継がれています。

また、歳神様がいらっしゃる間は煮炊きを控えるという考えや、いつも忙しい主婦が正月の三箇日くらいは炊事をしないで過ごせるように、「おせち」という保存食が用意されたとも言われています。料理の内容は地域によって実に様々で、いずれもその土地ならではの食材が用いられています。

最近、デパートなどで売られている「おせち」は二段、三段のものが主流ですが、正式には四段重ねで、品数が奇数になる様に詰めます。

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『最新版「さすが!」と言わせる大人のマナー講座』283ページより抜粋>

一品一品は語呂を合わせた縁起物

黒豆:「まめ(健康)に暮らす」「まめまめしく働く」という意味で、黒豆を甘く煮たもの。

数の子多くの卵を産むニシンにあやかって、子孫繁栄を願う。

田作り(ごまめ):昔、田んぼの肥料だった小魚(カタクチイワシ)を用いたことから豊作を祈願する料理。この小魚を乾煎りし、砂糖・醤油・みりんで味付けしたもの。

昆布巻:「よろこぶ」の語呂合わせ。魚を昆布で巻いて甘辛く煮詰めたもの。

鯛:「めでたい」に通じる。尾頭付の鯛の塩焼き。

ごぼう地下にしっかり根をはることから「一家の土台がしっかりするように」との願いがある。人参と一緒に「きんぴら」にしたり、関西ではゴマと醤油・みりん・酢で味付けて「たたきごぼう」にする。

里芋:小芋が多い里芋を出汁醤油で煮る。「子宝に恵まれるように」との願いがある。

紅白なます紅白の色でめでたさを表すために、大根と人参を細く千切りにし甘酢に漬ける。

栗きんとん:きんとん(金団)とは「金が詰まった」という意味で、豊かな1年を願う。甘く煮た栗を、滑らかにこした甘く煮た薩摩芋で和える。

この中で代表的なものを「祝い肴三種」と言い、関東では「黒豆・数の子・田作り」、関西では「黒豆・数の子・たたきごぼう」です。この三種とお雑煮が揃えば、おせちの形が整いお正月が迎えられると言います。

現代では、洋風、中華風、和洋折衷など多様な「おせち」が登場し、伝統的な料理にとらわれないものとなりつつあります。時代に合わせて変化していくものなのかもしれません。

しかし、お正月に親戚や家族がそろって新年を寿ぎ、その年の繁栄を願うために食べるものに変わりはありません。その”心“と”習慣“は後世に受け継いでゆきたいものです。

 

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