マナー&プロトコール ミニ辞典

日本マナー・プロトコール協会が正しいマナー&プロトコールの知識をお伝えします。

雛人形はいつから飾るのが正しいですか?

雛祭りは女の子の健やかな成長を願う行事です。「上巳(じょうし)の節供」「桃の節句」とも呼ばれ、雛人形を飾り、桃の花、白酒、菱餅、雛あられなどを供え、ちらし寿司や蛤のお吸い物などのお料理を楽しみます。

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<写真は桃の節供の室礼> 意味は以下の通りです

  • 紅白人形(こうはくひとがた):もとの形代(かたしろ)は、これで身体を撫で自分自身の厄を移すもので、草や木、紙などで作りました。
  • 雛あられ:昔は、米飯の「おこげ」を洗ってあられにしたとも言われ、これは子供たちに倹約を教える意味もあったようです。
  • 白小皿:白い小皿は祭器。
  • 手毬:地面に向かってつく手毬は女子の象徴で、色付きにします。天に向かって蹴る蹴鞠(けまり)は男子の象徴で、白色にします。
  • 菱形赤奉書紙:祝いと厄除けを赤色に託し、長寿を願う形の菱形に菱餅の意味を託します。

■雛祭りの由来

上巳とは、旧暦3月の最初の巳の日の事で、古代中国では、その日に川で身を清める禊祓い(みそぎばらい)の風習がありました。それが日本に伝わり、時代とともに変化してきました。

すでに平安時代には、季節の変わり目に人の形をした形代(かたしろ)または人形(ひとがた)で身体を撫でて穢れを移し、その紙を川や海へ流して災難や厄をまぬがれるという儀式が貴族の中で行われていたようです。それが「流し雛」のルーツと言われています。その形代が白い布で作られたぬいぐるみから次第に美しい衣装を着せられた人形になると、川に流さずに家の中で飾るようになりました。

さらに今日のようになったのは室町時代後期のことで、江戸時代になり「雛祭り」が五節供(※)の一つになると庶民の間にも広まり、現在のような雛壇が登場し、豪華な鑑賞用の飾り雛が作られるようになりました。

※五節供:古くから続く節供の中でも、江戸幕府が特に重要なものとして定め、公的な行事・祝日とした以下の5つ

  • 人日(じんじつ)の節供  1月7日
  • 上巳(じょうし)の節供  3月3日
  • 端午(たんご)の節供   5月5日
  • 七夕(しちせき)の節供  7月7日
  • 重陽(ちょうよう)の節供 9月9日

■雛祭りのお供えや祝い膳のいわれ

  • 桃の花:中国では桃の木は邪気を払うと言われ、この時期に咲く菜の花とともに、古くから上巳の節供でお供えます
  • 桃花酒:桃に「百歳(ももとせ)まで生きる」という長寿の願いを込めて、桃の花びらを浮かべたお酒を飲みます
  • 白酒:白酒はみりんや焼酎等に蒸したもち米や米麹を1ヶ月程度熟成させた後、軽くすりつぶして造ります。甘酒とはまったく違うもので、アルコール飲料です。
  • 菱餅:宮中で食べられた三色の菱形の餅。菱形は魔をよけるとされ、三色は上から桃、白、緑。一説では桃が「魔よけ」、白が「清浄」、緑が「健康」を表していて、三色が「悪いものを取り除き、清く健やかに育ち、長寿であるように」という願いを形にしたと言われています。
  • 雛あられ:地域によって違いがありますが、一般的には菱餅を細かく切って油で揚げたものです。
  • ちらし寿司節供にはその季節の特別料理が用意されます。海や山の幸を使った彩りの綺麗なちらし寿司は、まさに女の子の節供にふさわしいお料理です。
  • 蛤のお吸い物:蛤の殻が同じ貝同士しか合わない事から女性の貞操を表すと言われ、一生一人の人と添い遂げられるようにとの願いが込められています。

雛人形の飾り方

日本では古来、左が上位とされていた為に、雛段飾りから見て左側が男雛、右側が女雛という風に並べられていました。

しかし大正天皇即位式から西洋の基準である「右上位(右が左より上位)」が取り入れられ、右側に天皇陛下、左側に皇后陛下が立たれたことから、右側に男雛、左側に女雛と並べる地域が増えてきました。京都や奈良などでは、今でもかつての基準に則して左側が男雛、右側が女雛と並べている家が多いと言われています。

雛人形の飾る期間

“いつからいつまで”という決まりはありませんが、目安として、立春過ぎから2月中旬に飾ると良いとされています。

「雛祭りが終わったら、すぐに雛人形を片付けないとお嫁に行くのが遅れる」などと言われますが、これは「片づけができないようでは、良いお嫁さんになれない」という言い伝えによるもので、必ず3月4日に雛人形をしまわなければいけないという事ではありません。3月中旬までの“お天気の良い湿気が少ない日”に、片付けるのが良いでしょう。

1年に1度しか出さない雛人形だからこそ、丁寧に扱い、いつまでも大切にしたいものです。

 

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